行政書士試験一般知識問題での足切りによる不合格回避対策とは?
行政書士試験には、法律だけでなく「一般知識」の問題が出題されます。「行政書士には幅広い知識が要求される」との趣旨なのかどうかは不明ですが、行政書士試験において、この一般知識の問題は「かなりの曲者」と言えると思います。
※注:令和6年度行政書士試験から試験範囲に一部変更があり、「業務に関連する一般知識等」から「業務に関し必要な基礎知識」へと変更されました。これにより「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が試験範囲に追加されました。
「行政書士試験の施行に関する定め」の一部改正について|一般社団法人 行政書士試験研究センター
行政書士試験の合格条件(足切りで不合格となる可能性)
理由は、まず行政書士試験の合格条件にあります。
合格基準点 | |
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①行政書士の業務に関し必要な法令科目等の得点 | 122点以上 |
②行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点 | 24点以上 |
③試験全体の得点 | 180点以上 |
上記表は行政書士試験の合格基準点です。試験全体の合格点は180点以上ですが、基準が3段階となっており、試験全体の得点を問わず「法令科目」「一般知識」でそれぞれ基準点がクリアできなかった場合は足切りとなります。
つまり、法律科目でどれだけ素晴らしい点数を取っても、一般知識の基準点をクリアしなければ足切り不合格となってしまいます。(行政書士試験を受験する方で知らなかった方はこれを機会に是非知っておいて下さい。)一般知識の問題は14問×各4点の56点満点となりますので、最低でも6問正解が必要です。
常識範囲で解ける難易度の低いサービス問題も紛れているので「過度に恐れる必要はない」と言いたいところですが、受験者からすれば法律科目での勉強の努力を無にしてしまうような理不尽な仕組みとなっています。
1年に1回しか受けられない試験、絶対に合格したい場合は一般知識でどのように点数を取るのか対策はしておくべきでしょう。(運悪く足切りになって後悔しないように…)
一般知識の出題範囲が曖昧なため試験対策が難しい
対策すべき、といっても実はその対策が難しいです。
そもそも一般知識では何か出題されるのか?という点を説明いたしますが、一般知識で問われる問題を大別すると「政治」「経済」「社会」「情報通信」「個人情報保護」「文書理解」の6種類となります。
ジャンル | 出題数 | 出題内容 |
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政治 | 1~3問 | 基本的に近現代史が出る。 |
経済 | 1~3問 | 経済問題、経済用語等 |
社会 | 3~4問 | 時事問題、社会問題、環境問題等、幅広く出題。 |
情報通信 | 1~2問 | IT用語、AI技術など |
個人情報保護 | 1~2問 | 個人情報保護法、情報公開法など、法律絡みの問題 |
文章理解 | 3問 | 文章の空欄を埋める問題 |
合計14問 |
出題数の配分もだいたいは決まっていますが、合計14問・文章理解3問以外は毎年同じではなく、バラツキがあります。法令科目とは異なり、基本的にすべてのジャンルにおいて出題される問題を予想するのは困難と言える状況です。
一般知識はどのように勉強したらいい?各問題の対策
正直「有効な対策」といえるかどうか微妙ですが、私自身が考えた対策は下記のようになります。
政治 | 日本史・世界史の近現代史の流れを動画視聴で勉強する。 |
経済 | 経済を勉強したことない人・経済に疎い人は、捨て問題。勘で答える。 |
社会 | 時事問題、社会問題、環境問題等のニュースに普段から関心を持っておく。 |
情報通信 | 普段からIT用語やAI用語等を調べ、関心を持っておく。 |
個人情報保護 | 「個人情報保護法」と「情報公開法」を勉強。 |
文章理解 | 基本的に勉強(知識)は不要。※後述 |
政治
歴史(日本史・世界史)を学校で学んで間もない方は覚えていることも多いでしょうが、期間が経っている方はほとんど忘れているでしょう。この場合、本を読むよりはyoutube等で歴史が学べる動画を視聴するのがおすすめです。例えば毎日食事中などに動画を見ておくだけでも効果はあると思います。
経済
経済に詳しい人には楽勝かもしれませんが、そうでない人はわざわざ今から勉強するのは時間がもったいないと思います。(私もさっぱりわかりません)
社会
何が出題されるかは全く不明。毎年、何かしら時事問題が出題される予想はされています(試験問題作成時期の関係で直近のものは出ません)。毎日ニュース記事等を見て、普段から注意して関心を持っておくしかないでしょう。
情報通信
IT用語やAI等に関する問題が出題されます。この分野が出題されるのは行政書士を所管する「総務省」が情報通信を所管していることも関係あるのでしょう。※ざっとIT用語等について知るには「総務省:国民のためのサイバーセキュリティサイト」
個人情報保護
個人情報保護制度について出題されます。個人情報保護法から出題されるとは限らない、という点がちょっときついです。ただ、出題される可能性は高いので、個人情報保護法(と情報公開法)は勉強しておく必要があるでしょう。
文章理解
ネットで行政書士試験の過去問を見ても文章理解の問題は掲載されていません。これは著作者のある本の文章を抜粋して問題を作成しているため、問題をネットに掲載すると著作権侵害となってしまうためです。
本の文章の抜粋が題材となっていて、たいていの場合、その文章の中に空欄があります。文章の意図を理解し、その「空欄を埋める言葉が正しい選択肢」を選ぶ、又は「空欄を埋める文章の順番が正しい選択肢」を選ぶ、という問題となっています。コツはあるようですが、基本的に知識が必要なくその場で解ける問題です。
一般知識のどの問題で得点するか?
◎文章理解 × 3問
○個人情報保護法 × 1問
○情報通信 × 1~2問
△政治 × 1問
とりあえず、最低限の6問正解をクリアするという視点で考えます。勉強そのものは法律科目のほうがはるかに大事ですし、一般知識の勉強に多くの時間を割いて高得点を取っても合格自体はできません。
◎文章理解 → 唯一、知識が必要なく解ける問題。難易度も高くはなく、多少時間かけても絶対に全3問正解を目指す。ここを落とすと危険です。(1問につき目安5分)
○個人情報保護 → ある程度の予想ができる唯一のジャンル。個人情報保護法(と情報公開法)をしっかり勉強しておけば、出題されたときに正解できる可能性が高くなるはずです。
○情報通信 → 普段からIT用語、WEB、AI等に関心を持っていれば解ける問題が多いです。年によってはサービス問題もあります。
△政治 → 政治・経済・社会から選ぶとすれば、狙い目は「政治」となります。「政治」といっても日本史・世界史の近現代史的な問題が出題されているので、比較的範囲が絞りやすく、短時間でも毎日繰り返していけばそれなりの勉強になります。
その他 → 考えてもわからない場合、深く考えず勘で答えて時間節約。
最終手段:各資格学校等の一般知識出題(無料)直前予想を見る(しかないです)。