宅建試験合格後は?宅建士登録・登録実務講習・取引士証交付申請の手順について

この記事は、宅建試験合格後の「宅地建物取引士」の登録に関する記事となります。宅建試験に合格した方はもちろんのこと、これから宅建試験合格を目指す方もご参考いただけると幸いです。
宅建資格でできること・宅建士登録の意味
まず、宅建資格の取得は、それ自体で評価されることもあるでしょうし、自分の経歴の一つとなるものですが、極論すると、宅建資格そのものは「宅地建物取引士」の登録をすることにより、宅建業における「取引士の設置義務」「宅建業取引での重要事項説明」等にしか使うことができない資格です。
他の仕事には使えないため、「宅建業」に従事する気がない方は登録作業をする必要は基本的にはないと言えます。また、宅建試験の合格自体も一度合格すれば一生有効なので、登録しなかったらまた試験を受けて合格しなければならないということもありません。
一方、宅建士の仕事をするために登録をして「宅地建物取引士証」を持ちたい、とお考えの方は、登録は早い方がいいです。宅建合格から1年以内に登録申請及び宅地建物取引士証の交付申請を行わなければ、別途、有料の「法定講習」を受講しなければならなくなります。
言い換えると、宅建試験合格後に有料の法定講習を受けずに「宅地建物取引士証」を持ちたい場合、合格後1年以内に申請する必要があります。せっかく試験に合格したのに1年以上の期間を開けてしまうと、また余計な一手間がかかってしまうということです。
また、宅建業に従事する気はなくても、自身が宅建資格を取得したことを証明したい場合には「宅建士登録」あるいは「取引士証」を所持しておくことが最も手っ取り早い手段になるでしょう。
とりあえず「宅地建物取引士登録」や「取引士証交付申請」をする気があるという方のために、登録完了・取引士証受領までの流れについて説明いたします。
宅建試験合格後
宅建試験に合格すると「合格証書」が送られてきます。この合格証書のコピー(原本ではないです)が後々必要となるので、時間のある際に2枚ほどコピーを取っておいたほうがよいでしょう。※「合格証書の原本」は手元に大事に保管しておいてください。
合格後は、実務経験(申請時から過去10年以内に2年以上)あるかどうかで、登録の仕方が変わってきます。
過去10年以内に2年以上の実務経験がある方はすぐに登録申請が可能(実務経験の証明が必要)ですが、実務経験がない方は登録する前に「登録実務講習」を受講する必要があります。

登録実務講習
登録実務講習とは、宅建業の実務経験がない人のための「実務経験」の代わりとなるものです。
登録実務講習は民間の資格学校等が行っているため、直接申し込みをすることになります。受講料はおおむね22,000円(税込)と決まっているようです。
ちなみに私はオンライン予約が可能だったのと、日程の都合上「LEC」の登録実務講習を選びました。日程は、一般的に「8時間×2日間」のコースとなります。
申し込みをすると「テキスト」と「DVD」が送られてきます。このうち、テキスト(教科書)は実際の講習で使用します。本番のテストで問われる問題集もついています。実際の講習日までに1か月の期間がありますので、その間にテキストとDVDは一応一通り見ておいた方がいいでしょう。
テキストの内容を見ると、宅建試験で学習した内容とリンクしており、特に都市計画法・建築基準法等の「法令上の制限」の知識が重要ということを思い知らされます。
試験に合格するだけなら都市計画法・建築基準法のいずれも「捨て科目」だと個人的には思っていますが、その後のこと(実務)も考えるならちゃんと勉強しておいたほうがいいでしょう。
8時間×2日間のコースを受講すると、最後に試験があります。講習を真面目に受けておけば不合格にはならないレベルのものです。講習自体も宅建業に従事している講師の方から面白い話が聞けました。
「登録実務講習修了証(合格通知)」は、しばらくすると郵送されます。この「登録実務講習修了証」は、宅建士登録の際に原本の提出が必要です(コピーは不可)。
宅地建物取引士の登録申請
上記の「登録実務講習修了証」が届いたら、今度は宅建士の登録申請になります。
(※東京都の場合を例として説明します。登録できるのは試験合格した都道府県となります。)
宅建士は都道府県知事の登録を受けますので、東京都の場合は東京都庁にある「東京都 住宅政策本部 民間住宅部 不動産業課 免許担当」宛てに申請します。
申請は、窓口でも郵送(簡易書留)でも可能です。窓口が混み合うとのことなので、私は郵送で行いました。
※「登録申請書」「誓約書」はこちらからダウンロードできます(東京都の場合)。各都道府県のウェブサイトでご確認ください。
登録申請に必要な書類等
①登録申請書
②誓約書
③身分証明書 (※発行日から3か月以内)
④登記されていないことの証明書(※発行日から3か月以内)
⑤住民票(※発行日から3か月以内)
⑥合格証書(コピー)
⑦顔写真(登録申請書に貼る)
⑧登録資格を証する書面(「登録実務講習修了証※原本」又は「実務経験証明書」)
⑨従業者証明書(宅建業に従事している場合)
⑩本人確認書類(郵送の場合、運転免許証等顔写真入りのものの拡大コピー)
⑪手数料 37,000円(郵送の場合は納付について連絡あり)
⑫返信用封筒
ご存じない方のために念のために申しますと、③「身分証明書」は本籍地の役所で取得でき破産者等に該当していないことの証明、④「登記されていないことの証明書」は法務局で取得でき後見登記等がされていないことの証明となります。
この中で「身分証明書」は本籍地で発行してもらう必要があるので、本籍地が遠い方は早めに郵送で申し込みをしておけば、実際に登録請求ができるときに書類が揃っている状態にできます。
約1か月後、登録がされると「登録通知」がハガキで送られてきます。これに宅地建物取引士の「登録番号」が記載されています。
宅地建物取引士証の交付申請
「宅建士登録」と「宅地建物取引士証の交付申請」は別物となります。合格した方はご存じかと思いますが、取引士証の提示義務等があるので、宅建士として仕事をするには取引士証を持つ必要があります。
種類 | 有効期間 | 費用 |
---|---|---|
宅建士登録 | 一生有効 | 3万7千円 |
取引士証 | 5年間 | 4,500円 |
登録は一生有効ですが、取引士証は5年間の有効期限があります。取引士証は有効期限が切れる前に法定講習を受け、また5年間更新しなければなりません。
取引士証の交付申請に必要な書類等
①交付申請書
②顔写真
③本人確認書類
④登録通知(はがき)
⑤返信用封筒(切手404円貼付※簡易書留による返送)
ここまでの流れを振り返ると以下のようになります。

取引士証を受領すれば、宅地建物取引士として業務従事が可能となります。
最後に、私自身がどうしたか?について言いますと、宅建士登録はしていますが、取引士証の交付申請はしませんでした。宅建業に従事するつもりがなかったのと、5年間の有効期限が切れる際に更新するために法定講習を受ける気になれなかったからです。
ただ、宅建士登録に関しては一度登録すれば一生有効ですから、一生に一度のことと考えれば講習料・登録料の合計約6万円はそこまで高くはないかな…ということで、一応「宅地建物取引士」の肩書だけは持っています。